個人での特許出願のために必要なプロセス(2) - 提案書作成編
前回の続き
個人での特許出願のために必要なプロセス(1) - 識別番号取得編 - キノコの自省録
1. 特許庁のWebページから、電子出願サポートソフトをダウンロードしてインストールする 2. 電子証明書をゲットする 3. 申請人登録を行い、識別番号を取得する 4. 提案書ひな形ファイルをダウンロードして、ガイドラインに沿って提案書を作成する 5. 出願費用を支払って、提案書に納付番号を記載する 6. インターネット出願アプリで出願を行う 6-a. 記載不備がある場合は修正して再度出願
前回は1~3まで。続いて4.提案書の作成です。
業務で特許提案したことがある人でも、全て自分で書いて出願する人は稀でしょう。おそらく、企業の決めた最低限の項目を記入して、体裁は知財部や弁理士が整えて出願すると思います。会社によっては出願者はアイデアシートだけ記入すればOKというところもありますが、それって知財部は体裁整えるじゃ済まないレベルで負担ですし、なんかもったいない気がします。
なお、請求項や実施例の書き方については触れません。この辺は私が敢えて書く必要もないでしょう。
ひな形をダウンロードする
特許庁のページにひな形が置いてありますので、まずそれをダウンロードしましょう。
Wordかhtmlか、どちらかで書くことになります。私はhtmlで書きました。Word嫌いなんです。
ひな形使用上の注意
htmlを見ると、大文字タグ、bodyに直書き、htmlのバージョン指定がないなど、凄い気になることがありますが、気にしてはいけません。
というのも、出願する時に体裁チェッカーが走るので、あんまり変に弄らないことをお勧めします。
また、文字コードはSJISを使用します。SJISがイヤだからドラフトまではUTF8で編集する、というのも別に構いませんが、SJIS範囲外の文字を入力しないように注意しましょう。
図・数式について
図は基本的に2階調BMPを使用します。一応JPEGも可能ですが、基本使わないように特許庁もコメントを出しています。
JPEGを使用する場合、必要以上に読み込みの画素密度を高くしたり、保存時の圧縮率を低くすると、ファイルサイズが非常に大きくなります。 JPEGは、特許・実用新案の図面代用写真又は意匠・商標の色彩を含む図面や写真のみに使用してください。 また、画素密度は200dpiを前提として、保存時には可能な限り圧縮率を高くし、ファイルサイズを小さくするよう設定してください。 特許・実用新案の図面代用写真や意匠・商標の色彩図面や写真以外の図形の場合は、白黒のPNG、GIF、BMP形式を使用してください。
refer from: 電子出願ソフトサポートサイト(よくあるQ&A 書類作成・文書入力B)
図は”【書類名】図面”にまとめます。HTML形式の場合は、図の番号とともにimgタグで貼り付けます。また、数式については、文中に直接(imgタグで)埋め込みます。
段落番号を打つ
【0001】という形式の段落番号を打つ必要があります。
書きかけの段階から段落番号を打つと、文章を挿入したり削ったりすると、酷く面倒なことが起こります。最後に一括して行うことをお勧めします。自分では、段落番号をすべて【XXXX】としておいて、後で自作したrubyプログラムで段落番号に置換する方法をとりました。
一応置いておきます。SJISファイルを入力するようにしてください。
http://kinokorori.ninja-x.jp/paragraph_xxxx.rb
表紙について
書類名は「特許願」ですが、まあ早い話が表紙です。テンプレートはこんな感じになっています。
【書類名】 特許願 【整理番号】 POOOOO3-1 【あて先】 特許庁長官殿 【国際特許分類】 A11B 1/11 A11B 2/11 【発明者】 【住所又は居所】 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 【氏名】 発明 一郎 【特許出願人】 【識別番号】 000000000 【氏名又は名称】 特許株式会社 【代理人】 【識別番号】 000000000 【弁理士】 【氏名又は名称】 代理 太郎 【選任した代理人】 【識別番号】 000000000 【弁理士】 【氏名又は名称】 代理 一郎 【電話番号】 00-0000-0000 【連絡先】 担当 【手数料の表示】 【予納台帳番号】 000000 【納付金額】 14000 【提出物件の目録】 【物件名】 明細書 1 【物件名】 特許請求の範囲 1 【物件名】 要約書 1 【物件名】 図面 1
ここは会社ではまず書かないと思われるところだと思います。順を追って説明します。
【書類名】 特許願
ここはそのままです。
【整理番号】 POOOOO3-1
整理番号は、出願者が勝手につけてよい番号です。桁も合わせる必要はありません。
【あて先】 特許庁長官殿
ここもそのまま。
【国際特許分類】 A11B 1/11
A11B 2/11
発明の分類番号です。
IPC分類表及び更新情報(日本語版) | 経済産業省 特許庁
ここから分類コード表を取得して、当てはまるものを入力します。また、入力に際し、桁数を全角スペースで正確に合わせる必要があるので注意してください。何を言っているのか意味不明かもしれませんが、たぶん出願時の体裁チェックで蹴られるので、イヤでも後からわかります。
【発明者】
【住所又は居所】 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号
【氏名】 発明 一郎
発明者(要するに自分)の住所と名前を記入します。省略できません。
【特許出願人】
【識別番号】 000000000
【氏名又は名称】 特許株式会社
あなたの識別番号と個人名を入力します。識別番号については前回のエントリを参照してください。
個人での特許出願のために必要なプロセス(1) - 識別番号取得編 - キノコの自省録
【代理人】
【識別番号】 000000000
【弁理士】
【氏名又は名称】 代理 太郎
【選任した代理人】
【識別番号】 000000000
【弁理士】
【氏名又は名称】 代理 一郎
【電話番号】 00-0000-0000
【連絡先】 担当
要らないです。消してOK。
(たぶん弁理士使うなら、表紙は書いてもらえるでしょう。)
【手数料の表示】
【予納台帳番号】 000000
【納付金額】 14000
どうやって出願費用を納付したかによって異なります。これは次回のネタにします。
【提出物件の目録】
【物件名】 明細書 1
【物件名】 特許請求の範囲 1
【物件名】 要約書 1
【物件名】 図面 1
ここもそのまま。これらの書類をちゃんと揃えましょう。
とりあえず今回はここまで。
次回