キノコの自省録

日々適当クリエイト

優秀なプレーヤーがなぜ無能なマネージャーになることがあるのか

投稿がだいぶ空いてしまいましたが、正直現在、非常に忙しいです。 忙しい理由が本業なのですが、これがまた得られるものが皆無な不毛プロジェクトの炎上に寄るもので、しかも炎上原因のほぼ全てが件のマネージャーのせいという、最悪な人生の無駄遣いをしています。 ただ、そのマネージャーは優秀なプレーヤーだった(らしい)ので、最近、それなりの若さでマネージャーに抜擢されたのですが、 正直言って背筋が寒くなるほどマネージャーとしては最低です。誇張抜きに。

とはいえ、こういう「あの人は昔優秀だったらしいよ」というマネージャーは珍しくないと思います。自分もこれで5件目です。 なんで優秀な兵士が、殺すしかないくらい無能な指揮官になってしまうのか、その相転移を目の当たりにして、なんとなくこんな理由じゃないべか、ということを書いてみます。

Road to the Inefficient Manager

ベンチャーではない大抵の企業の場合、こういうステップでマネージャーに変化していくと思います。

  • 新米ワーカー
  • 頼れるワーカー
  • 小規模リーダー(3~8人くらいのリーダー)
  • 中規模リーダー(この辺りからマネージャー)

大体中規模くらいになると、マネージャー格になるかと思います。

小規模リーダーは実はマネージメントの必要性が少ない

小規模のリーダーを経験して、これ行けそうだねとなってステップアップする感じです。 ここが落とし穴で、小規模のリーダーができる人というのは、大抵その分野で優秀なプレーヤーなので、

  • いざとなったら自分がなんとかできる
  • 全員の顔を知っているし、すぐ声かけられる位置にいる
  • 問題点等のコントロールをしやすい(自分が理解しているから)

という、プレーヤーとしての専門知識を大いに活かすことができます。

さらに、余程のことがない限り、前年度までの業務から大きく逸脱しないので、大体のことは既に決まっています。 シビアなQCDコントロールをする必要がありません。 メンバーも経験者なので、特に指示を出さなくても、ある程度勝手に動くはずです。

ところが、チームが中規模(10~20人)以上になってくると、 専門外の知識が求められ、チーム間のコントロールが必要、知らない人も増えて情報伝達がやりにくいといったことが出てくるので、その調整に追われることになります。 さらに、上との調整や外との調整も増えます。 そうなると、正直プレーヤーとしての専門知識はあまり役に立たなくなってしまいます。 プレーヤーとしての専門能力と周りのサポートというメッキを剥がして何が残りますか?ということです。 実は何も残りませんでした、という場合はお察しください。 そもそもマネージャーとプレーヤーで求められるスキルが違うのに、マネージャー>プレーヤー扱いなのはおかしい、と言われているのはこういうところですね。

そういうわけで、この一般的なマネージャーへの道のり、つまり小規模リーダーができたなら中規模もいけるだろうという道のりが、大いにダメマネージャーの量産に寄与しているんじゃないかと思います。 知らない協力者や見えない協力者をQCD守って動かすにはどうすればいいか、前年の知識が使えないような全く新規分野で何を決めていけば良いか、 この辺りで苦労した経験がない人は、実は無能なマネージャーでしたーとなる可能性を大いに秘めています。

でも優秀なのになんで

優秀なんだったらその優秀さでなんとか出来るんじゃないの?と思いますが、そうはいかないようで……

実は「決めた」経験が少ない

おそらく一番はこれ。プレーヤーとしての優秀さは、正しく業務を処理することであって、 正解のわからないような政治的判断、リスク先読み、クリティカルポイントの判断といったスキルはあまり必要でない場合が多いです。 (もちろん分野によりますが、必要とされてる分野なら悲惨マネージャーが生産されるリスクが少ない……と思う。)

大抵の業務は正しいか間違いかのどっちかで、曖昧な場合の判断は基本上に仰ぐ、という進め方をします。 要するに、よくわからない状況下で何かを決めなければいけないというシチュエーションが少ないということです。 一方、マネージャになると、置かれている環境を読んで、大抵3案、すなわちA案(ベストプラン)・B案(次善策)・C案を考え、 A案を遂行する場合の下準備に何が必要か、どこに動いてもらう必要があるか、 ダメな場合の判断をいつしてB案に切り替えるか、という能力が必要とされます。 プレーヤーの専門スキルはあまり関係ありません。

前述した通り、プレーヤーとしての優秀な能力と、マネージャとしての優秀な能力は、全く異なるということです。 なので、優秀だけど優秀じゃないみたいなことになります。 名選手、必ずしも名監督にあらず。

決められないということはプランを立てられないということです。 プランを立てられないということは、準備や段取りが出来ないと言うことです。 もうこの字面だけで炎上の臭いがします。

ちなみにこういう決められない人はミーティングが大好きです。そして「みんなで議論しましょう」と言います。 議論というと耳障りが良いですが、単に決め方がわからないので知恵を出せと言っています。 本来、議論というのは意見集約をして、妥結点を決めるプロセスです。 業務上、意見集約する必要があるのは、それほど多くないはず。 (ケータリング先を決めるとか、忘年会の店を決めるとか……) ※逆に大規模リーダーになると、政治的判断が多くなるので、議論が増えると思います

優秀さ故の弊害

優秀なプレーヤーだった、という部分も、大いにマネージャーの無能化に手を貸すことがあるようです。 早くから頭角を現し、「俺はリーダーになる器だ」と言って酷いマネージャーになった人を知っています。 (このマネージャーのせいで、多くの優秀な人材が流出しました。)

こういう人は、自分が間違っていたり判断ミスしてもプライドが高く、自己修正しません。 ちなみに今の炎上マネージャーもそういうタイプです。 この前、「自分だけが悪いわけではありませんが、責任者として謝っておきます。」と、平然と言い放っていてビックリしました。 (ちなみに99%そのマネージャーが悪い)

そしてどんなに周りから叱責されても、どういうわけか修正しません。 これはなんなんでしょう。 正直、新入社員をそのままマネージャーに据えた方が良い結果になると思います。

また、マネージメントが上手くいかないので、わかりそうなところに無意味に顔を出してきます。要するにマイクロマネージメントです。 本来やらなければいけないことを放棄して、わかりそうなところに顔と口を出す。 そして、大抵の場合は現場の人間の方が詳しいので、ただの邪魔にしかなりません。 なんでも自分でやろうとして全てが中途半端、本当にやるべきことを見失いがちにもなります。

さらに悪いことに、優秀なプレーヤーだった残念マネージャーは、ワーカーホリック気味の人が多いです。

  • 自分ががむしゃらに働けば全て上手くいくと思っている
  • 基本たくさん働かせればいいと思っている
  • 業務スピードが速い人を基準に考える

価値観の違う人がいる、ということを原則考えません。 「俺はがむしゃらにやってここまで来たんだ、甘えないでたくさん働け」という感じですね。 でも指針を決めない(決め方がわからない)ので、ただただ炎上、オーバーワークだけが発生します。

若干恨みが籠ってます。とりあえずこの辺で。 智絵里アラームのソフト編書きたい。